グロテクスっぽい表現が苦手な方はご遠慮ください(/ω\)××××…。

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ソレは「夢」でした。


目を開け、私は布団の中に居ることを確認しました。
目を開けてはいますが、
コレは【夢】だと解かりました」
夢だと、ふちどられているような、何だかまわりがボヤ〜としていて、
あ、コレ夢だ。って感覚ありますよね。
そんな感覚でした。
だから私はコレは【夢】 だとすぐに感じました。

夢はよく見る方だし、夢なのだし―――、
私は夢の中で身を起こし、
どんな夢なのだろうと歩き回って見ることにしました。

変わらない自分の家。
私は一人暮らしなので家に誰もいないので、夢と現実の変化なんてわかりません。

でも、

何か変でした。


外が騒がしい・・・。
住宅街のアパートなので、子供の声で騒がしかったりはするのですが・・・
子供の声の騒がしさではありませんでした。
何というか・・・おばあちゃんやおじいちゃんのような声がたくさんするのです。
その声は「嘆き」とか「狂気」・・・?
そんな風にも聞こえました。

窓をのぞくのが少し恐かったです。
でも、【夢】だし!!!
そう思い、私は窓を少し開け外をのぞいてみました。


――――・・・?
不思議な光景でした。
私の家は住宅街。いろんな人が住んでいます。
でも、凄い数の老人が居たのです。
嘆いてる声を聞いてみると、どうやら『突然、年をとってしまった』らしいです。

正直私は笑ってしまいました。
だって、コレは【夢】なのですから
しかも私は無事。
さすが【夢】だけあって都合が良い。


「【夢】なんだからやっぱりアレかな?ホラー映画とか漫画みたいに、私だけ年とらないから、
  私が抗ウィルスのモトみたいに、皆私に群がったりしてー。恐ーい」
そんなひとり言を言いながら、
この事がニュースになっているのかな?とTVをつけました。

・・・驚きました。
『突然、年をとってしまった』というのは、
私の近所だけではありませんでした。
どうやら世界で起こっているコトのようです。

世界とは又でかく出たな私。
でも【夢】なんてこんなものですよね?

でも、ニュースの年をとり始めていたアナウンサーが気になる事を言いました。


*抗ウィルスを持った人間が、少数だが、居る。と言う事。
*その人間で、もとに戻れる【薬】が作れる。と言う事。


でも、
その人間は早くもとに戻りたい人間に、






群がられ、食い殺されている。と言う事。



そりゃ、
少数しか居ないと聞けば、
いつ戻る薬が
自分のトコロくるのか待っていられないのはわからないでもないですけど・・・

抗ウィルスを取り込んでその人が戻っても、
その人自体が抗ウィルスを持てるというわけでもないから
そういう自体に陥ってしまっているようです。

ゾっとしました。
夢か現実か わからない感覚になるほど。

でもコレは【夢】!!


夢 夢 夢 夢 夢・・・ッッ

夢なんだから・・・もおいいよ。早く覚めて・・・!!!!

強く言いました。
心の中で。
頭の中で。

早く 早く 早く・・・っ!




ピンポーン。
突然家の呼び鈴。

息がとまりそうになりました。

<【夢】なんだから、とまるワケないじゃない!>

驚いた自分を恥じるように、心の中で自分に文句を言います。

私の家はオートロック+カメラ付きインターフォンでした。
ホントに、コレは夢でも
カメラ付きにしてて良かったとホっとしました。

でもインターフォンの画面に行くときに、考えました。

もしかしたら「私」 が「抗ウィルスを持った人間」って、バレて押しかけてきているんじゃ・・・
でもまさか!
私外にだって出ていないし、
電車が近くを通っているから、壁とか窓とか防音用にココの声とかなんて隣にすら聞こえてないはずだし!!


群がられ、食い殺されている。


とても
とても恐かったです。
たとえ夢でも、
群がられ食い殺されるなんて!

ピンポーン

外の相手は反応がないものだからまた呼び鈴を押して催促をします。



とりあえず、
誰なのかでも・・・

<そんなの見なくてもいいように、早く覚めれば良いのに・・・っ!>

そう思いながら画面を見てみると、
年をとった二人の兄でした。
もうすぐおじいちゃんになりそうな。
さっきは笑ってしまいましたが、
ニュースを見た後だし、【夢】だといって笑えなくなっていました。

多分こうなっていて、心配で来てくれたのでしょう。
でも、抗ウィルスを持った人間である私を見て、兄達はどう思うのでしょうか・・・
下手すれば・・・兄に食い殺されてしまうのでしょうか・・・
まさか!まさか!

そう思いつつも、もう恐怖でいっぱいでした。


でも、どうせなら、そこまで危機迫った状況になれば目も覚めるかもしれない!
違う夢でも、高い所から落ちる夢を見て落ちた瞬間にガバって起きて、
あ、何だ夢か。
って思った事あったし!!

まだ覚めないなら前向きに考えよう!
そう思い、兄達を部屋に招きいれました。

兄達は私を食い殺そうとはしませんでした。


「そりゃ戻りたいけどな、食い殺してまで戻ってもな。」
そう苦笑しながら、腰が痛くてなーとか、腹がなーとか言って、私を少し笑わせてくれたりしました。
そして、この病気のせいで、
母が「老衰」で亡くなってしまった。と突然言われました。
突然言われ、
涙も出ませんでした。
コレが夢だとわかっていても、
ショックで、わけがわけがわからなくなりました。

「たぶんな、俺らも明日とか明後日とかで、死ぬと思うんだ。  まあ。。お前は頑張って、生きれ」

そう言って、兄達は帰ってしまいました。
あっさり・・・。
夢だから??
実際死ぬってなったら、

あっさり・・・だったりするのかもしれません。

ニュースで言っていた通り、死にたくない。戻りたい!為に食い殺すと言う、
ゲームに出てくるようなことをする人だって居るけど、
そういう人だって、いるんですよね。

兄達は、戻りたいからと言って私を傷つけるような事もせず、帰っていきました。

ホっとしました。。。
同時に少しでも、恐怖に負けて、兄達を疑って、とても申し訳ない気持ちになりました。

でも、何より、
この【夢】がさっさと覚めさえすれば・・・!!!!!

ゴッゴンッッ!!!!!

突然凄い、何か叩きつけるような音が聞こえました。

――――・・・??
兄達が何か忘れ物でもしたのかな??

玄関の方に向かい、鍵を外し、ドアをあけようとしました。

あ。錠を外し 忘れ・・・


ガンッッ!!!!!!!

ドアの向こうの人が、無理やりドアを開けようとしました。
向こうに居た人は兄ではありませんでした。
知らない人でした。
いや、知っている人なのかもしれなかったのですが、
もう、年をとっている顔なので、しっかり【誰】とはわかりませんでした。

そしてその人は叫びました。

「居た!!きっとコイツ、抗ウィルス持ちだ!!!!!」

凄い大きい声でドアの向こう側の一人が叫びました。
それを聞きつけた、近くにいた人達が一声に私の家に向かってきました。
私は一瞬のウチに今まで出したことのないようなチカラで
ドアを押し戻し、鍵をかけました。

ドン!!ドン!!!!!ゴンッッ!!!ゴガッッ!!!!!

激しく打ち付ける音・・・
きっと色々なもので扉を叩きつけているのでしょう。

恐い・・・どうして・・・
何で覚めない・・・。早く・・・

ドン!!!!ゴッッ!!!

に・・・逃げなきゃ・・・・!!!!!


クローゼットにあったなるべく大きめの体とかを隠せるようなジャケットと、大きい帽子、
マフラーをつけて、スニーカーもはいて、
私は窓から逃げました。




抗ウィルス持ちだ!!と叫んだ人のおかげか
アパートの中に入っていって、窓の下にあまり人は居なく、
着こんで、帽子も深くかぶっていたので何とかバレずに家からは離れることが出来ました。

でも。。。これからどうすれば・・・。

ウィルスに感染しているように見せかけながら歩いていると、、、
見たことのある人が・・・

高校の頃のクラスメイト・・・!

一瞬声をかけそうになったけど、自分が抗ウィルス持ち。ということに気づいて辞める。
でも・・・
よく見てみると、
彼女も年をとっていない・・・!!?
どうやら私と同じように、逃げてきたようでした。
周りを警戒しながら声をかけると、
彼女は不安が解けたように、嬉しそうに私に声を返してきました。
そして、
ココで話しをして気づかれたら危ないから・・・と、
人気の少ない場所に移動する事にしました。


「あのね。あたし、追われてるのよ」

彼女は突然そう言いました。
私だって、追われています・・・。
なので私は、
どうにか、薬が作れる人の所にでも行って、血でも抜いてもらって、
どうにか、皆が助かるように出来ないか、頑張って行ってみようか。
そしたら、そこに居ればもしかしたら安全かも!?

そう提案をしたのですが―――。

「もしその移動の時にバレて食い殺されちゃったらどうするの?
 あのね。あたし死にたくないの!イヤよ!食い殺されるなんて!!!だからね?アナタを皆に差し出そうって思ったわ!
 ここで逢ったのも運命よね?ね?だからあたしとついてきてよ!あたしの家族も皆ウィルスに感染しちゃったの!ね?
 助けると思って!」

ちょ・・・ちょっと待って!?
何を言ってるの!??

「あたし死にたくないもの。痛いのもイヤ。だから犠牲になって?良いでしょ?ね?ね!!!!」

そう言って無理やり私を連れて行こうとします。
何をいっているのでしょう。
誰だって死ぬの恐いのに・・・・!
私だって・・・死ぬの嫌・・・。まして食い殺されるなんて・・・!!!

必死に抵抗して、
しばらく言い合いになりました。

こわい

犠牲に出来る人間が居る。と、わかった時のヒトはこんな顔をするんだ・・・。

彼女はいつも笑って、明るく元気な人でした。
【夢】でまさかこんな【役】で出てくるなんて・・・
夢・・・そう。
これは夢!


早く覚めて!!!
もうこんな夢はいやだ。
私は強く念じました。

それでも夢は    覚めませんでした。



い やだってば!!!



そう言いながら私は彼女を強く突き飛ばしました。
勢いよく彼女は後方にとび、転びました。

「・・っいったいなぁ・・・!?」
苦痛の言葉をもらした瞬間。

どこに潜んでいたのか
老人の男が彼女に覆いかぶさるように突然出てきました。
それから続くように、
たくさんの老人、おじさん。おばさん。青年。
いろんな人が彼女に・・・――――――ー、瞬間。





「××××××××××××××××!!!!!!!!!!!」





言葉にならないような悲鳴と、
耳障りなオト・・・ゲームや映画でも
聞いた事の無いような
リアルで、頭が割れるかのような・・・

叫び声は一瞬のように終わり。
食すような、ひきちぎるような、


逃げなきゃ・・・違う・・・覚めなきゃ・・・
早く早く早く早く早く早く・・・・・・・・・!!!!!!!!

何てリアルな感覚。
自分の心臓の音が、頭に響く。
自分の声と心臓の音でいっぱいになった瞬間。
体に力が入る。

逃げなきゃ!



彼女が食べられている間に私はそこから全速力で走りました。

あまりに動転して私は帽子をおとしてしまい、

年老いてない私に気づいた感染者が追ってきました。

助けて!

助けて!

助けて!

助けて!

助けて!

覚めて!

起こして!

助けて!

逃げなきゃ!


頭は逃げる事でいっぱいでした。


突然。目の前に一台の車が勢いよく止まりました。
ああ・・・もうダメだ・・・。

「食べたりしないわ!乗りなさい!」

もう抵抗する力なんて私には無く、引っ張る手に連れて行かれるまま私は車に乗り込んでしまいました。

このまま・・・目が覚めれば良いのに・・・
それでも


私は覚めませんでした。




運転している彼女は、振り切るように追ってきた者たちを置いて凄いスピードで進んでいきます。
襲い掛かってきた人達とは、雰囲気が何か違っていました。

私を食べてモトに戻りたいんですよね?

私は問いました。

「いいえ。私はアナタを守ってあげたいの」

意外な返答に戸惑いました。
話しを聞いてみると
彼女は私の「親戚」だと言いました。
そして私の血を作って「薬」を作る為に「研究所」へ行こうと、

今更それが「本当の事」を言っているのかどうか確かめる術もなく、
確かめるとか、まあ・・・この際、もうどうでも良い事なのですが。


そうこうしている内に彼女の家へと着きました。

家に入ると彼女は
「座っていて、何か飲み物いれてあげる」
どうやら本当に危害を加えるつもりはないみたいでした。
凄く安心しました。
もう、頭がおかしくなりそうな位
・・いや、もうよくわかりません。

彼女はチョコドリンクをいれてくれました。
私はチョコドリンクが大好きでした。

「甘いモノって安心するわよね」
彼女は笑顔で言いました。
その笑顔に、とても安堵しました。
でもその笑顔が突然曇りました。
「あなた、その足・・・」

足・・・?
見ると、私の足は変色していました。
何でしょうか・・・何故・・・?

「多分・・・追いかけられているときとか、何かの時に感染者に引っかかれたか何かされたのね
 抗ウィルス持ちでも、相手に噛まれたり引っかかれたりされちゃうと、感染するらしいわ。
 だから皆一度誰かがかじっちゃうといっせいに群がっちゃうのね。あ、かじるなんて、表現が軽率ね。ゴメンナサイ。」

事を軽く言うように彼女はサラっと言いました。

何だ・・・コレで私も感染者。。
ああ。私、もうあんな思いしなくて済むんだ。

「でも完全に感染してるわけじゃないのよ。まだ体全体にウィルスがまわってってるわけじゃないと思うから、でも、今日は疲れたでしょう?
 寝てていいわよ。明日は私と研究所に行きましょうね」
彼女は優しげにそう言ってくれました。
急に、凄い眠気が私を襲いました。
でも、
違う。
寝るんじゃない。
私は覚めるの。
きっと夢だから、逆なんでしょうね?
凄く眠い。
でも違う。
私はやっと覚める。

「そう。じゃあ覚めるのね。おはよう。」

そう言われて、
私の視界は段々ボヤけてきた。
もうすぐ私は目が覚めるのだろう。
そしたらいつもと変わらない日常。
いつもと変わらない人々。
そうだ。
明日は実家の方に顔を出そう。
兄達と母に逢いに行こう。
奢るから!と、カラオケにでも誘おう。
早く覚めないかなあ・・・。

そして私の視界は真っ暗になった。

>>>>・・・。